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未成年 [本]

「未成年」 ドストエフスキー





工藤精一郎訳の新潮文庫版で読みました。
最後についている解説が佐藤優なのは思いがけなかったけど、案の定「こんなに神様神様いう奴は無神論者だ」とディスってて笑った。

さて、感想というほどの感想もなく、特別面白くもなくつまらなくもなく。
登場人物を把握して物語に入っていくのに少し難儀するけれど、物語の枠をおおむね把握できれば「えーどうなるのー」と野次馬根性で楽しめます。
ロシア人の名前がわかりにくいのと、主人公も他の登場人物もぐだぐだねちねちと鬱陶しいのはドストエフスキー作品を読むうえでの大前提なので今更言ってもしょうがない。むしろそれが醍醐味だったりする。

一言で言ってしまえば人間関係のドロドロです。
何かドラマチックな出来事が起きたりまさかの大どんでん返しがあったりするわけではありません。
それでもなんとなく面白いのが良い小説というものです、と誰かが言っていた気がする。

主人公の青臭くて短絡的ですぐ興奮する浅はかさと異常な自意識の高さにイラっとして全然共感できないけど、なんといっても「未成年」ですからね。それをこそ描いているのだから仕方ない。

この物語には重要な手紙が二通登場するのですが、最後まで尾を引く方の一通は物語の序盤にさらっと出てくるだけなので、読みながらずっと「この手紙ってどういう経緯でなんで主人公が持ってるんだ??」と思っていました。
読み終えてからそれについて書かれているところを探したけど見つけるのに苦労した。
こういう大事なことこそもっとわかりやすくねちねちと書いてよ、ドスちん!
そしてその記述を読んでもやっぱりこんな大事な手紙が主人公のような青臭い小僧に託された理由がわからん。
作者の都合以外。

私の中にこれといって強い印象を残す作品ではなかったけれど、思ったよりもすんなりと読了できたのはよかったです。
これでドストエフスキーの五大長編制覇!!
次は途中で投げ出してしまった「死の家の記録」に再挑戦しようかしら。




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