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ナウシカ歌舞伎 [歌舞伎]

新橋演舞場でナウシカ歌舞伎を観てきました。

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その前に、まずは私の悲しい話を聞いてください……

新橋演舞場には開演30分前に到着する予定だったんです。
ところが、乗っていた特急列車が人身事故の影響で1時間近く止まってしまい、こっちの方が早いかも?と乗り換えた快速列車は、元々乗っていた特急列車に途中で追い越され、大人は金で解決だー!と上野駅でタクシーに乗ったのですが、20倍近い金額を払った割には地下鉄と大して所要時間が変わらず、ようやく座席に着いたときには開演から30分近くが経っていました……

私が見始めたころには、怒りに我を忘れたナウシカの剣をユパ様がみずからの腕で受け止めるあの名場面がすでに終わっていて、クシャナ殿下が花道から帰っていくところでした。。。
そりゃもう、クヨクヨしながら観てましたよ。
そういう残念な観劇感想です。
昼夜通しで観たので、感想は一緒くたになってます。

まず全体の話からすると、ストーリーもキャラクターも確かにナウシカでありながら、ちゃんと歌舞伎だということに驚きました。
舞台装置や演出などは現代的な部分も取り入れられていますが、セリフも所作もこれはたしかに歌舞伎です。
衣装も基本的に歌舞伎の衣装でナウシカ風にアレンジされている感じ。
武士の装束にあのマントと帽子を被ると違和感なくユパ様になるのがすごい。
ナウシカは狩衣だけど、これもやっぱり違和感なくナウシカだし。
クシャナ殿下の衣装はかなり特殊だったけど、紫のマントがとても高貴な感じで似合っていました。

松也くんのユパ様は、キャストを見たときに若すぎない?と思ったけど、これはこれでアリ。
若くてイケメンなユパ様もいいものです。
立ち回りも多い重要な役ですから、なるほど松也くんだよね、と思いました。
そして相変わらず客いじりがうまい。

亀蔵さんのクロトワは期待していたほど存在感がなくてちょっと物足りない印象です。
せっかく個性的な役とそういう役を得意とする個性的な役者さんなのに、良さを出せていないように思います。
もったいないなぁ。
時間の都合もあるだろうし、しょうがないのかな。

むしろ錦之助さんのチャルカの方が存在感があった。
出番も多いのかな?
まあ、美味しい役ではあるよね。

巳之助くんのミラルバはぶっ飛んでる感じが出ててよかった。
しょうもない悪役と言えば悪役なんだけど、あのやけっぱち感と妙な明るさがどこか憎めないんだよな。
そのあたりとても上手く表現されていたと感じます。

歌六さんのヴ王は流石の一言。
こういうスケールの大きい悪役が本当にお上手です。
暴君ではあるんだけれども、どこかに王の器を感じさせるところもあって、やはり憎めないキャラクターです。
「さいごにきて面白き人生であった」というようなセリフとともに高笑いを響かせるのなんか、かっこいいもんね。

アスベルの右近くんもセルムの歌昇くんも爽やかでよかったねー。
米吉くん好きなんだけど、ケチャは米吉くんの可愛らしさがイマイチ出せない役のようで、残念。

で。
そうです、クシャナ殿下です。
私は七之助さんのクシャナ殿下を観に行ったと言っても過言ではない。
こういう複雑さを抱えた美女の役は七之助さんをおいて他にはいない、と配役を見た時から思っていましたが、予想を裏切らない素晴らしいクシャナ殿下でした。
凛々しくもお美しい姿、普段の女形の声よりも凛としたお声。
颯爽とした武人らしい動き。
白(銀?)の衣装の上で翻る紫のマントの美しさよ……!
私は本気でときめきました。

さて、もちろん、菊之助さんのナウシカです。
私、劇場に行くまで怪我のことをまったく知りませんでした。
なんとなく周りから聞こえてくる会話から、誰かが怪我したことを知り、昼の部と夜の部の間で検索したら菊之助さん、8日に舞台で怪我されていたのですね。
その後、夜の部の幕間で偶然会った知り合いから、宙乗りや派手な立ち回りなどはカットされていると聞いて、とても残念な気持ちになりました。
知らなかった。。。

事故のことを知らない状態で初めてトリウマを見たときに、まさかこれに乗るんじゃないでしょうね?と私ですら思いました。
二本脚のトリウマの再現性は高く、それはそれで素晴らしいのですが、まあ、どう見ても不安定だよね……
このトリウマに乗って花道を引っ込むときに横転して左肘に怪我をしたとのこと。
それでも内容を一部変えて舞台を務める役者魂には頭が下がるし、舞台観られてよかったとも思うけど、やっぱり当初の形で観られなかったことには落胆します。
初日のチケットを手に入れるチャンスがあったのに、躊躇してチケット取らなかったことが悔やまれてなりません。
よよよ……

映画館での上映の際にはどのバージョンになるのでしょうね?
観られなかった場面を観たい気もするし、そしたら劇場で観られなかったことがまた悔しくなりそうだし、複雑。。。

言われてみれば、ナウシカは左手の動きがあまりない。
逆に、言われなければ気付かなかったということが、すごい。
ナウシカの動きが制限され、見せ場の一部がカットされていることもあるのでしょうか、やはりちょっと物足りない感じもいたします。
ナウシカの真摯さ、清純さ、愛情の深さはとても伝わってきました。

ケレン味で見どころは昼の部では本水を使った立ち回り、夜の部ではオーマと墓の主による連獅子でしょうか。
どちらも見ごたえあります。派手でいいです。
赤い連獅子の化粧がちゃんと巨神兵の顔になってるのいいね。

それから、装置の巨神兵の再現性の高さが見事だった。
あと、ミトじいの顔が、ミトじいだった!
美術さんたち頑張ったんだなー、と思うものがたくさん出てきました。

最後に写真をいくつか。

壁画風の幕
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イヤホンガイドのキャラクターと一緒にいたテト
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特典でもらったチケットホルダーと、迷った末に買ったテトのブローチ
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スーパー歌舞伎II  新版 オグリ [歌舞伎]

新橋演舞場でオグリを観てきました。

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猿之助さんと隼人くん、どっちでもいい……ていうかどっちも観たい!
どちらの主演か確認せずに都合のいい日時でチケットを取ったら隼人くんでした。

開演前の舞台の様子。
この鏡面と光を使った演出がとてもきれいでした。
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スーパー歌舞伎ですから、歌舞伎っぽさを残しつつもかなり現代的な舞台になっています。
とてもわかりやすく華やかな舞台でケレン味もたっぷりなので、子供たちが観ても面白いと思う。

前半の小栗一郎から六郎が活躍する場面が戦隊モノ的ワクワク感があって私は好き。
もっとそれぞれの特徴を活かした活躍が観たかったけど、6人分やっていたら尺が足りないよね。。。

隼人くんがイケメンなのは言うに及ばず、新悟くんがすっかり姫が板についているのに驚いた。
特に声が可愛い。
明るく前向きで心の優しい綺麗な娘というのは往々にしてウザかったりするのですが、この照手姫はまったくそういうものを感じさせず、ただひたすらに健気で応援したくなる。すごい!

照手姫には兄さまが二人いて、一人はただただお家のことだけを考えているのだけれど、もう一人の方は父や兄に従いつつも妹の幸せとは…とふと考えてしまう。
登場回数は多くないけれど印象的な役でした。

最近涙もろくなったのか、泣けるシーンが度々あって大変だった。
特に私がぐっと来たのは照手が川に流される場面。
本当は川に沈めろと命じられていたけれども、生涯に一つくらいは良いことをしたいと、沈めずに流すことにした二人。
「鬼の中にも仏の心」「生きることは地獄かもしれねぇが、生きておくんなせぇ」

流された照手は過去を隠して小鮎として老夫婦の世話になっている。
浜に集まってきた婆さんたちはスマホやタブレットを片手に若く美しい小鮎をディスる。
背後のスクリーンにはツイッターやLINEでメッセージが飛び交う様子が映し出され、
「小鮎ブスww」
「二次BLガチ勢らしいよ」
などなど、舞台上のバアサマたちも気になるが、小鮎ディスりからも目が離せなくて大変だった。
あれもっとじっくり見たいなぁ!

他にも見どころが多く、笑えて泣けて最後までとっても楽しい舞台でした。
できればもう一度、今度は猿之助さん主演で観たいくらい。
でも25日で終わりだからちょっと難しいかな……。

これは最後に空から降ってきたバラの花びら。
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歌舞伎座八月第二部 [歌舞伎]

歌舞伎座で第二部の「東海道中膝栗毛」を観てきました。

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以下、備忘録として簡単に。

四作目の弥次喜多、今回は二人の早変わりが眼目なんですね。
これは実にお見事。
スタッフさんも含めて拍手!

しかしなんだか脚本の質が下がってきたような気がするのは私だけでしょうか……。
ウケ狙いにやりすぎの感があって、せっかく芸達者な二人なのに良さがあまり活かされていない感じがしました。残念。
主演の2人以外にも若手を中心にたくさんの役者さんが出ていますが、いずれも役者の芸や個性を活かすというよりは安っぽいネタに使われている感じがしてなんだか気の毒になってしまった。

巳之助くんのカツラが取れたのはあれはネタなのか、ネタじゃないのか!?
ともあれ、歳を重ねるごとに親父さんに似てきたねぇ。
踊りの上手い芸達者な役者になっておくれ。

花道にも舞台にも近くて、宙乗りを下から見上げるのも楽しかったけれど、周りにおしゃべりをするお客さんが多くてなんだか気が散ってしまった。
しばらく劇場に足を運ぶのはいいかなぁ、と思ってしまいました。

あーあ、愚痴っぽい記事になっちゃった。。。


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六月歌舞伎座夜の部 [歌舞伎]

久々の歌舞伎座で三谷かぶき「月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)」を観てきました。
みなもと太郎の「風雲児たち」を原作として三谷幸喜が作・演出を手掛けた新作歌舞伎です。
漂流してロシアへ流れ着き、10年の歳月を経て帰国した大黒屋光太夫のお話。

幕が上がったのかどうかわからないうちに花道からさりげなく松也くんが登場。
スーツに眼鏡の先生という設定らしく、観客をいじりながら世界に引き込んでいきます。
松也くん、私はすごく久しぶりに見たんだけど、いつの間にか一人で舞台を背負えるような大きな役者になっていたんですねぇ。
すっごく楽しくて、とても人気があるのがよくわかりました。
以前お隣になった奥様が「松也くんがいいわよ~」と褒めていたのを思い出しました。
古典でも観てみたい。

お坊ちゃま育ちのお頭・光太夫役の幸四郎、口が達者な庄蔵役の猿之助、ちょっとニヒルな新蔵役の愛之助、と脂ののった人気中堅役者が揃っていてとても充実した舞台です。

新悟ちゃんが情の深いロシア女(日本語の諺で返答する)マリアンナを生き生きと演じているのがよかった。
それから、染五郎の磯吉が清楚でよかったね!!
親父さんとの掛け合いも息がぴったり。
あとでネットで調べてその美少年ぶりにぶっとんだ。若かりし頃の美輪明宏に雰囲気が似てる。

八嶋智人のラックスマンはさすがの喋りっぷりで面白かった。
ホント芸達者だなぁ。

白鸚さんを舞台で見るのはとっても久しぶりでしたが、落ち着いた声と存在感の大物っぷりはさすがの一言。
キラキラ衣装に目がくらむ。

終盤、ロシアの地に残らざるを得なかった庄蔵、新蔵との別れの場面はとても切ない。。。
俊寛のようですね。。。

そして幕切れはあざとい演出と言えば、まあそうなんだけど、やっぱり感動!泣けます。

幸四郎さんと猿之助さんはすっかり名コンビって感じでいいですね。
8月にはまた弥次喜多やるみたいですし、これからも楽しみです。

そして買わずにいられない焼き立て人形焼き。
んまい。
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シネマ歌舞伎「野田版 桜の森の満開の下」 [歌舞伎]

シネマ歌舞伎「野田版 桜の森の満開の下」を見てきました。

ストーリーの土台は「桜の森の~」ではなくて「夜長姫と耳男」の方ですね。
韻を踏んだセリフが耳に心地よい。

勘九郎さん、幸四郎さんの相変わらずの芸達者ぶりも素晴らしかったですが、七之助さんの夜長姫がとても印象的でした。
あどけない無邪気さと残酷さと狂気が混然一体となった美しい姫。
邪か聖か。鬼か神か。

勘九郎さんには勘三郎さんという目指す方向がはっきりしているけれど、七之助さんは向かう先がはっきりしない不安があるんじゃないかと勝手に思っていましたが、なんのなんの、着実に独自の世界を築きつつあって頼もしいかぎりです。
親父さん、いい息子さん二人に恵まれましたなぁ。

扇雀さんはおっとりとした長者の役がよく似合います。
猿弥さんの愛嬌のある活きのよさもマナコにぴったり。

舞台は見逃しましたがシネマ歌舞伎で観られてよかったです。


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歌舞伎版『風の谷のナウシカ』 [歌舞伎]

『風の谷のナウシカ』歌舞伎上演決定
https://www.kabuki-bito.jp/news/5186

まじっすか。

「ナウシカは菊之助、クシャナは七之助」

まじっすか!

来年12月新橋演舞場での公演だそうです。
観なくちゃ!



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十月歌舞伎座夜の部 [歌舞伎]

歌舞伎座の夜の部を観てきました。

私が観たい公演はみんなも観たいわけで、土日は完売、平日もほぼ完売。
ふと思い立ってチェックしてみたら、最前列ど真ん中と花道シチサン横と二階の東桟敷に空席が!
関係者が押さえていた席を直前にリリースしたのでしょうか。
一旦トイレに行って落ち着こうと思って帰ってきたら最前列とシチサン横はすでに埋まっていた。すごい。
ということで、安心の二階東桟敷での観劇となりました。

と、その前に。
田舎者は東京へ行ったらデパ地下を巡らねばなりません。
銀座三越の地下はたぶん5年ぶりくらいで、美味しそうなものが山ほどあって、わぁぁぁ!となんだかもう見ているだけで嬉しくなってしまう。
あれもこれも買って満足して東銀座へ。

歌舞伎座へ行く前にすぐ近くのナイルレストランへ。
歌舞伎座へは長年通っているけど、いつも通り過ぎるだけで入ったことはないこのお店。
役者さんにもご贔屓が多いのだとか。
インド料理なのになぜナイル? と思いながら入店すると「うにゃうにゃランチ?」と聞かれて、よくわからないまま「はい」と答える。
後で調べたらムルギーランチだった。そして店主がナイルさんで、茨城生まれだった。

ムルギーランチはサフランライスとカレーとホロホロに煮込まれた骨つきチキンとマッシュポテトと野菜炒めみたいなのが一皿に盛られていて、骨はその場でおじさんが取ってくれる。
そして「よく混ぜてね。カンペキにね」と言い残しておじさんは去って行く。
真面目な私は言われた通りに混ぜる。カンペキを目指して。
そして食う。
一言で言うとウマイ。
なるほどウマイ。
しかし普段、幼稚園児と同じくらいの小さな弁当しか食っていない私には量が多すぎた。
寝るまで腹一杯だった。

死ぬほどカレーを食った後はいよいよ歌舞伎座へ。
その前に地下のお店を冷やかしてちょっとお土産を買ったりして。

一階席の迫力もいいけれど、二階桟敷席のリラックス感はやはり有難い。
田舎者がデパ地下で買った大量の荷物も収納可能。素晴らしい。
でも上から見ていて花道横でもよかったかも…と思ったり思わなかったり。。。
お隣のご婦人は神戸からいらしたとのことでした。

「宮島のだんまり」
話の筋はよくわからんが、とにかく綺羅星のごとく役者さんが並んで華やか。
もう何遍も書いてるけど隼人くんがイケメンすぎる。どうしてくれよう。
親子揃ってイケメン。

「吉野山」
玉サマの静御前と勘九郎ちゃんの忠信。
そりゃもうウットリするような美しい舞台でした。
巳之助くんがイキイキと藤太を演じているのも良かったです。
親父さんのような芸達者になってくれ。

「助六曲輪初花桜」
コレです。これ。
仁左衛門さんの助六が見られるのはこれが最後かもしれない!
そりゃもうカッコイイです。
美しいです。
小粋です。
見られてよかったです。
兄さんに喧嘩指南をするところはもっぺんやって! と言いたくなります。

歌六さんの低音の悪役はやっぱり素敵だし、七之助さんの揚巻も貫禄があってよかった。
揚巻の啖呵は小気味がいいねぇ。
美しいだけでなく肝の座った女はカッコイイ。
登場時の揚巻の背中に付いている海老は、お正月の飾りにああいうのがあったなぁ。

勘九郎さんが演じるフェミ男な兄上は愛嬌たっぷりで楽しかった。
しばしば勘三郎さんの舞台が思い出されて二重写しに見えるような気がいたしました。

休憩時間にすでに亡くなられた歴代名優たちの写真を眺めていて、勘三郎さんと三津五郎さんがすでにここに仲間入りしていることを改めて惜しく思いました。
二人とも早すぎたよ。
そして仁左衛門さんのは先先代の仁左衛門にそっくりであることを知った。

華やかでわかりやすい、初心者にもオススメの公演です。


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シネマ歌舞伎 東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖 [歌舞伎]

シネマ歌舞伎で「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖」を観てきました。
たしか、副題の読み仮名を公募して、「こびきちょうなぞときばなし」に決まったように記憶する。
猿之助と当時・染五郎(現・幸四郎)のやじきたです。
いきなり宙乗りで弥二さん喜多さん登場。しかも通常とは逆の3階から降りてくる。
斬新だわー。

歌舞伎っていうか、お遊びたっぷりの夏のお祭りみたいな公演ですが、劇中劇である四の切が意外と本気度高くて見ごたえがある。
巳之助くんはドスの効いた静御前も素晴らしかったが、狐忠信も情感たっぷりでとても良かった。
いつか本公演で観てみたいね。
作中で演じる「伊之助」という役者がまた深みのあるいい役で、これを見事に演じていました。

隼人くんはますますオヤジさんに似てきて、はじめはどっちか分からなかったよ!
いずれにせよ男前だけども。
イケメンは颯爽とした役を演じても、病弱な色男を演じても絵になりますなぁ。

児太郎くんのお蝶も素晴らしかった。
子役のころに何度か見ただけだったので、いつの間にか立派な女形に成長していてびっくりしました。
色気と気品と存在感があります。
こちらも着々とオヤジさんの後に続いていて頼もしいです。

虎之助くんも明るく爽やかでよかったねー。
いやー、若手がどんどん成長していて嬉しい。
また歌舞伎を観に行こうと思えてきた。
しかし何度も言うようだが、歌舞伎座はチケットが高すぎる。。。

門之助さんと笑三郎さんは義太夫節を相当練習されたのでしょうね。
まったく違和感がなかった。すごい。

幸四郎&猿之助のコンビは安定の芸達者ぶり。
往年の勘三郎&三津五郎のような名コンビになりそうな予感。

途中、お蝶を取り調べるか、小歌を取り調べるかをお客さんの拍手によって決めるコーナーがあって、どっちになるかで結末が変わるって言ってたんだけどホントにそうなの?
私が観たのは小歌バージョンだったけど、お蝶バージョンも気になるなぁ。

最後は伝家の宝刀を抜くと天照大神が現れて大団円のお約束。
「神」が化け物を「成仏」させるといういい加減な神仏習合ぶりが実に日本らしくて好きです。

楽しいお祭りでございました。


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四月歌舞伎座 夜の部 [歌舞伎]

久々に歌舞伎座へ行ってきました。
この備忘録ブログによると実に5年ぶりです。

夜の部なので、まずは遅めの昼食兼夕食を近くのカフェでいただきます。
銀座の人気カフェ、リール ギンザ。
全然知らんかったけど、ネットで調べたら出てきたから行ってみべぇ。

人気店なので並ぶことも多いようですが、平日の中途半端な時間帯だったのでスムーズに入店。
キッシュとサラダのプレートランチを頼んでみました。

最初に出てくるのはデミタスカップに入ったポタージュスープ。
ティースプーンより小さいスプーンでこれをちまちまと口に運ばねばならない。
こんなもん一息でくいっと飲み干せてしまわぁ、と思いながら、もしかするとこの腕の運動によってカロリーが幾分消費されて以降の料理がより一層おいしく感じられるという心憎い気配りなのかもしれない、と考えてみる。

続いてキッシュとサラダとマリネのプレート。
おしゃれ。かつ、無難にうまい。

最後にミニデザートと紅茶。
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おいしいし、オシャレだし、高すぎないしで、人気店なのは納得なんだけれども、なんだか私には居心地があまりよくなかった。
なんでだろうなぁ?
早々に退出。

まだ時間はあるので歌舞伎座タワーの5階にある庭園に行ってみる。
ふうん。
終了。

地下に降りてお土産屋さんをひやかす。
でも何も買わない。

まだ時間があったので近くの東劇に行ってチラシを一通りもらってきたところでちょうど開場時間です。

演目は「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」。
歌舞伎座が新しくなってチケットが軒並み3割くらい値上がりしてからめっきり足が遠のいていましたが、仁左衛門さん演じる鶴屋南北の極悪人、しかも一世一代と言われては行くしかあるまい。
奮発して一等席をとりましたよ。

2階の西側桟敷です。こんな感じで物が置けて便利。
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お芝居のほうはとにかく悪い。そうとう悪い。
仁左衛門さんは二役で、どちらも極悪人。
まずは殿様のほうで、いきなり百姓の子供をお手打ちにする。
さらにこれを利用して邪魔者をだまし討ちにして、さらには供の者も斬り捨ててそいつに罪をなすりつける。
すごい。悪い。

この殿様は相当ワルなんだけれども、聞き分けなく駄々をこねて泣き叫ぶ子供を容赦なく斬り捨てる場面で、観ている人間の心に「酷い」という気持ちだけでなく、ちょっとだけスカッとする気持ちがあったりもして、そのことに恐ろしくなったりもする。
こういう人間の業の深さのようなものを抉り出す鶴屋南北って改めてすごいと思う。

もう一役の方もかなり悪くて邪魔者は片っ端から殺してしまう。
しまいには女房まであっさり殺す。
うーん、すごい。

仁左衛門さんのワルぶりは言うまでもなくかっこよかったけれど、彌十郎さんのどっしりした安定感がお芝居全体を支えている感じがしました。

あと、時蔵さんのうんざりお松がキャラクター含めてすごくいい。
25になるこれまでに、持った亭主は16人。すごい!
あらゆる悪に手を染めて、爛れきった色気があります。
そして商売道具の毒蛇の生き血が欲しいと言われたらあっさり蛇の首筋を嚙み切って血を絞り出すワイルドさ。
さらに惚れた男には重い女。
いいねー、いいキャラだねー。
で、結局殺される、と。

最後は三人兄弟の次男夫婦が無事に仇討ちを果たすのだけれども、次男の妻・皐月の予想外の強さに目を見張ります。
ばったばったと雑魚を倒し、ラスボスとも互角に立ち会って夫と力を合わせてついに討ち果たす。
妻・皐月すげえ!

久々の歌舞伎座、楽しかったです。
歌舞伎座へ行くというのは、歌舞伎を観るだけではない娯楽性がありますね。
隣の上品な奥様とも色々おしゃべりできて楽しい観劇でした。

でもやっぱりチケット高すぎるから次行くのはまた5年後かも。


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十月国立劇場 [歌舞伎]

久しぶりに国立劇場へ行きました。
そして本当に久しぶりに古典歌舞伎を観ました。

「霊験亀山鉾」

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仁左衛門の色悪だもの!
滅多に上演されない演目だもの!

私怨のため一人の侍を闇討ちにした男が、仇討ちに来た者たちを卑怯な手を使ってことごとく返り討ちにするという結構すごい話。
鶴屋南北だし、さぞやグロかろうと期待していたけれど、意外と地味だった。

仁左衛門さんの色悪ぶりはさすがに見事であった。
黒羽二重の着流しが似合うんだよなぁ。

錦之助さん演じる源之丞は「人も羨むイイ男」らしいんだけど、子供まで産ませた女を「隠れ妻」のままにしておいたり、仇討ちのために潜入した先で芸者の女と懇ろになりやっぱり孕ませたりと、意外とチャラい。
そしてまんまとだまし討ちに遭う。
顔以外は大してイイ男には思えないがいかがでしょうか。

本水が降り注ぐ中、男と女が髪を振り乱しての立ち回りは異様な迫力と暗い美しさがあってよかった。
その後の、女同士の立ち回りもあんまりお目にかからない感じで面白かった。
それにしても芸者おつま、ただの芸者とは思えない強さだったねぇ!

仁左衛門さんは藤田水右衛門と八兵衛の二役でしたが、顔が似ているけど違う人間なのか、別人物の振りをしている同一人物なのか、どっちなんだろうと迷うところがあって、ちょっとわかりにくかった。

帰りはぜったいラーメン食べて帰ろう、と心に決めていたのですが、電車の都合で断念。
それだけが心残りです。
あー、ラーメン食べたい。



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