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小さな達成感 [裁判傍聴]

傍聴週間最終日。
お天気も良く、鼻歌歌って参りましょう。

今日も無難に覚せい剤。
被告人の女性が「亀」印のオレンジのスウェットを着ていたのが非常に印象的でした。
亀仙人のお弟子ですか。
被告人も証人もボロボロ泣く法廷とのギャップが何やらおかしいような哀しいような。

証人は被告人の息子の元カノだそうだ。
証人の旦那さんが闇金に手を付けて非常に辛かった時に被告人が支えになって、以来、親子のように付き合っているらしい。
この証人、質問されると、聞かれたこと以外についてもダラダラと話す。
終いには裁判官もイライラしてきたのか
「もう結構です。答えは簡潔に」
と注意する。
この裁判官、昨日の法廷で精神病を患う女性放火犯に紳士的な優しさを見せていた人。
泣き出して答えられなくなった被告人に対して
「いいですよ。気持ちが落ち着くまで待ちましょう」
なんて言っていたから、気が短い人ではないんだと思うけど、今日の証人には耐えられなくなったと見える。
被告人に対する質問の時には、出頭が遅れた理由について細かい言い訳をする被告人に対して
「それはいいんだけどさぁ」
と、ちょっとやさぐれ気味。
今日は出掛けに何か嫌な事でもあったのでしょうか。

被告人は、夫が入手した覚せい剤を使ったとのこと。
夫は1年2ヶ月(だったかな)の実刑が決まっています。
今後は夫と二人で薬には一切手を出さず真面目に暮らします、とのことだけど、覚せい剤の前科持ちの二人が夫婦として暮らして、薬から一切手を切るのは相当難しいんじゃないかと、誰もが思うだろうなぁ。

次も覚せい剤。
こちらも被告人は女性です。

冒頭で逮捕時に所持していた覚せい剤を「これはあなたのものですか?」と検察が確認するところで、裁判官が「あなたの所有物ですかってことなんだけど、分かります?」と言葉の意味を理解しているか確認した。
多分、一時的に誰かから預かっていただけのものではなく、完全に自分の意のままにできる所有物なのかってことを確認したかったんだと思う。
被告人にはよく分からなかった様子。
検察官が言葉を変えて確認します。
「つまり、あなたが権利を主張できるものかってこと」
それじゃますます分かりません・・・。
「誰にも相談しないで、自分の好意で人にあげたりできるものですか?」
とかなんとか、結局そんな言葉で治まったようです。
傍聴していると、エリート達ができるだけ分かりやすい言葉で表現しようと苦戦する姿が度々見られます。
格差社会ですなぁ。

情状証人は被告人のお父さん。
娘には自分の仕事を手伝う働き手として早く帰ってきて欲しいことを度々話します。
弁護人が「被告人の子供達にとって、被告人は必要な存在だと思いますか?」と聞くと、
「私ももう歳なので、孫の面倒を見るのは大変だ」
と答える。微妙にすれ違っている。
話を聞いていると、娘が可愛いというよりも、単なる働き手として必要としているだけのように聞こえる。
裁判官に向かっての最後の言葉も
「厳しい時代なので、早く娘を返して欲しい」
と言う。

この一言が検察官の癇に障ったらしい。
「さきほどの、娘を早く返してくれという言い方はおかしいんじゃないですか。被告人は自分のしたことの責任で行くんだってことを分かってますか!?」
と一喝。手にはいつの間にやら扇子まで持っていて非常に威圧的。
きゃー、怖い。

証人が検察官に怒られる場面は度々見掛けるけれど、被告人の罪について証人を怒っても仕方ないんじゃないのかなぁ。
親の監督不行き届きとか、分からないでもないけれど、被告人はみんな一応成人なんだしさぁ。
証人はきっと心の中で「なんでお前に怒られなきゃならないんだ」って思ってるに違いない。

証人についてもう一つ、いつも思うこと。
聞かれたこと以外についてもベラベラ話し出す証人は珍しくない。
そういう証人には確かにイライラする。
だけど、日常生活だったらどうだろう。
例えば
「○○さんを知っていますか」
と聞かれて、法廷で良しとされるのは「はい」か「いいえ」の簡潔な答え。
その人は何をしている人なのか、その人のことをどう思っているのかは、改めて一つずつ質問されます。
でも、日常会話で同じことを聞かれて「はい」で終わったら、その人はきっと会話ができない人、と見なされる。
法廷で求められる会話と日常会話は別のもの。
でも、それを使い分けるのって、難しいよねぇ。
相手の質問の意図と、どんな答えを期待しているのかを瞬時に読み取って答えるって、かなり高度な技術です。
それを証言台という緊張する場面でできる証人が少ないのは、仕方ないのかもしれないな。

本日のマメ知識。
検察官が証人の採用に同意する場合の「しかるべく」は検事共通用語のようです。
この言葉といい、風呂敷といい、検察官には不思議なしきたりが色々あるんだなぁ。

さて、傍聴週間お疲れ様でした。
まあ、単なる道楽だから辛いことも疲れることも何もなかったんだけど、五日間通う!と自分で決めたことをやり遂げられたことがちょっと嬉しい。
ほんのちょっとしたことでも、達成感って大事です。


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