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恋人のような親友のような [本]

「ゲイ短編小説集」を読み終えた。
これは良い本だ。
収録されている作品一つ一つがどうこうではなくて、一冊の完結した本として良くできていると思う。

まず表紙の写真がいい。
スーツ姿で小粋に帽子を被った男性が二人、こちらに背を向けて木の柵のようなものに寄りかかりながら肩を寄せ合っているセピア色の写真。
ゲイと言えばゲイに見えるし、ただの親友と言えばそれまで。
この写真が本の中身を象徴していると言ってもいいんじゃないかな。
よくぞこんな良い写真を見付けてきたものだ。
カバーの折り返しによれば「AFFECTIONATE MEN:A PHOTOGRAPHIC HISTORY OF A CENTURY OF MALE COUPLES」なる写真集から借りてきた物のようだ。
こっちも非常に気になったので調べてみたら、当然と言えば当然なんだけど、日本では発売されていません。アマゾン経由で37.97ドルから中古品が買えます。
まあ、欲しいんだけど、アメリカから取り寄せる程では・・・ねえ。

正直、覗き見趣味的な興味から買った本だったんだけど、読んでみると非常に文学。
収録されている作品はどれも英米文学の巨匠の作品だから、当たり前かしらね。
文学の中でのゲイの扱いや作者の態度の違いなどを教えてくれます。
中には「これのどこがゲイ・・・?」と思う作品も少なくないんだけど。
私の読みが浅いってことで。
ちなみに解説が非常に充実しているのは良いけれど、文学的すぎて意味不明だったりします。

最もゲイ小説らしいのはフォースターの「永遠の生命」。
布教に来た青年宣教師の元へ、夜一人訪れる異教の若者。
深紅の花飾り以外は何も身に着けていない。
そして宣教師にすり寄って神の愛についてもっと聞かせて欲しいと囁く。
うーむ、エロス。
退廃的で野性的で耽美的で官能的。
さすが、あの「モーリス」の作者です。

さて、次は何を読もうかな。


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