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高慢と偏見 [本]

「高慢と偏見」 ジェイン・オースティン  (中野 康司訳)



20年ぶりに読み返しました。
前回は新潮だったような気がしますが、もはや手元にないのでちくまを新規購入。
訳文が自然でとても読みやすい。
文学史に燦然と輝く古典ですが、小難しい思想が語られるわけでもなく、ひたすら俗っぽい話が皮肉とユーモアたっぷりに描かれているので、上下巻ですがあっという間に読み終わります。

以下、ネタバレを含みますのでそういうの気になる方はご注意ください。



前回読んだときはユーモアの部分はあまり理解していなくて、ロマンス部分でダーシーさんステキ、うっとり、としか思わなかったけれど、今回読み直して、すっかりベネット父さんのファンになりました。
あの容赦ない皮肉たっぷりのセリフには何度もニヤリとさせられたね。
ベネット夫人の目を覆いたくなるような愚かさと、ベネット氏の諦観と自嘲を含んだセリフの対比がいい。
この夫婦の会話は冒頭から飛ばしてます。

ダーシーさんは終盤の完全にエリザベスに愛を捧げている状態よりも、こんな下品な家族がいる娘なんかとこの高貴な自分が結婚するなんてとんでもないと思いつつも、どうしても気になってしまってジレンマ、という状態の時の方が魅力的なんだな。
リディアの駆け落ち騒動以降のダーシー氏はちょっと都合のいい王子になりすぎててなぁ。

長女のジェインお姉さまはとびきりの美貌で穏やかで世の中の人は全員いい人だと思いたい心の清い天使のような人で、おそらく一般的には一番男にモテる。
しかし私はこういう「そんな風に悪く言ってはいけないわ。何か誤解があるのかもしれないもの」というタイプの人に自分の悩みや苦しみを話そうとは思わないなぁ。

話の大筋としては、若く美しい娘が金持ちのイケメン青年と結婚して幸せになりましたってだけなんだけれど、描写の面白さは別にして、このハーレクインなストーリーは男性が読んでも面白いのだろうか?
漱石先生はじめ著名な男性作家が絶賛しているのは知っているけれど、「しょせんは金と顔かよ」と思わないのかな?

BBC制作のドラマも素晴らしいようなので、そちらも観てみたいと思います。


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