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魔性の街、上野 [美術館/博物館]

国立博物館で「対決 巨匠たちの日本美術」を見て来た。

以下、私の好み。

運慶 vs 快慶
地蔵菩薩対決なので、動きがなくてやや物足りない。
やっぱりお二人の魅力は躍動する肉体美ですよ!
あえて選ぶとしたら快慶かなぁ。

雪舟 vs 雪村
雪舟に軍配。
梅下寿老図が気に入った。
日本画なんだけど中国風でもあり、色合いにどことなくミュシャを連想させるところがあったりもする不思議な絵。
慧可断臂図は有名なので印刷物では何度も見たことがあるけれど、おおこれが本物かとちょっと感動した。

永徳 vs 等伯
特に勝敗はなし。
実はあまり記憶にない。

長次郎 vs 光悦
焼き物はよく分からない。
あえて選ぶなら長次郎かなぁ。

宗達 vs 光琳
宗達が好きさ!
どこかで見たことのある襖絵だなぁ、と思ったら、一昨年の夏に行った養源院の襖絵であった。
この養源院というのは三十三間堂の裏にある地味なお寺で、案内板がなかったら古い農家にしか見えない。
中では寺の一部になっているようなおばあちゃんが一人で拝観料の受け取りから解説までこなしている。
この寺にはちょっと他所では見られないような生々しく人型を残した血天井があって、それをおばあちゃんが淡々と説明してくれる。
文化財保護のためか、内部に照明らしい照明はなく、昼間でも薄暗い。
廊下を歩けば鶯張りの床が鳴く。
天井には血の跡。
客は私たちしかいない。
出口に座るおばあちゃんがニヤリと笑った・・・ような気がした。
そんなお寺なのだけれど、実は宗達のお宝がたくさん。
白象図は本当にすばらしいです!モダンでオッシャレー。
お勧め穴場のお寺です。

仁清 vs 乾山
だから焼き物はよく分からないんだってば。
どっちも良かったよ。

円空 vs 木喰
私は元から円空師匠のファンです。
今回の展示にはないけれど、円空師匠の薬師如来、日光菩薩、月光菩薩は最高です。
この仏様を見ると、皆微笑む。
「笑ってるね」と言って、誰もがつられて微笑む。
本当です。なぜか反射的に微笑んでしまうのです。
微笑んでいる人々の顔を見て、私はこの仏様の威力を思い知ったのでした。
私はひどく落ち込んだ時はこの仏様の写真を眺めます。
その笑顔を見ているとなぜか涙が出てきて、何に対するのか判然としないながらも感謝の気持ちでいっぱいになるのです。
私は敬虔な仏教徒ではないのですが本当に不思議です。
もし刑務所に入るようなことになったら一緒に入って欲しい仏様です。

大雅 vs 蕪村
大雅お得意の、点で葉っぱを描く木々の描き方が好きです。
数年前に真似して暑中見舞いを描いたことがあります。
ただの適当な絵になってしまいました。
大雅はすごいよ。

若冲 vs 蕭白
若冲大好きなんだけど、今回の展示では蕭白の方が好きだな。
エキセントリック!
寒山拾得図屏風の異様な雰囲気が特に好き。
これを見ながら、とある小説の一場面を思い出した。
俺とお前は寒山拾得だ。さあ、笑え。笑えったら笑え。と友人に強要する場面。
漱石先生の小説だったような気がするんだけど、思い出せない。
誰か教えてくれ。

応挙 vs 芦雪
どっちも虎がすごい。
応挙の虎の毛皮の質感が見事!絵筆の毛の一本一本と同じ位の細さで毛皮の一本一本を描いている。一体どうやって描いたんだ?
だけど私の好みはまるで今にも飛び出しそうな芦雪の虎。
遠近法を極端にデフォルメした躍動感溢れる虎。
私が天下を望む権力者だったら、自分の後ろにこの襖を置くね。
天下くらい簡単に取れそうな勢いがあるよ。

歌麿 vs 写楽
あー、選べない。
どっちも好き。
でもあえて選ぶとしたら写楽かな。
歌舞伎好きだからね。

鉄斎 vs 大観
ここまで時代が下るとあまり興味がなくなってくる。
あえて選ぶなら鉄斎かしら。

国立博物館を出た後は、いつものコースで西洋美術館のレストラン「すいれん」へ。
ここのランチコースがお気に入り。
スープ、サラダ、パン、メイン、デザート、ドリンクで1600円は安い。
中庭を望む開放的で明るい店内も落ち着くから好き。

昨日ロッテリアの500円を贅沢だと言っていた人が、今日は2300円の図録を躊躇なく買い、1600円のランチコースを当然のように食べる。
上野はまことに魔性の街であるよ。


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