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連休中に読んだ本 [本]

連休いかがお過ごしでしたでしょうか。
私は特にこれといってイベントもなくだらっと過ごして終わりました。

以下、連休中に読んだ本など。

「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」 辺見じゅん



読売新聞は日曜日に書評面があって、そこで連載されている「平成時代 名著50冊」というシリーズを毎週楽しみにしています。
選者の一人は大好きな梯久美子さん。この本の選者です。

シベリアに抑留され、収容所で亡くなった方の遺書が遠く日本の家族のもとへ届けられた。
文字が書かれたものは一切持ち帰ることができなかったにも関わらず、長文の遺書はいかにして運ばれたのか。

タイトルにもなっている遺書の話は、実は最後にちょっとしか出てこない。
大部分は収容所での生活について描かれているのだけれど、いかに過酷だったかという告発の書ではなく、いつ帰国できるのか、そもそも生きて日本に帰れるのかわからない絶望の中で、希望の灯をともし続けた山本幡男という人物を中心に話は進みます。
ロシア語が堪能で、日本の古典文学にも精通している大変なインテリ。
この精神力はいったいどこから来るのだろうと不思議に思う。
もしかして軽い躁病だったのではないかと疑いたくなるほどです。

シベリアに10年抑留されていたと思えば、今からだって何でもできるような気がしてきます。


「シリアの秘密図書館」 デルフィーヌ・ミヌーイ



これまたやっぱり読売新聞の書評で紹介されていて、たまたま図書館で見つけたので読んでみた。
政府軍に包囲され爆撃に晒されるダラヤという町で、若者たちは瓦礫の下から本を探し出し、きれいに修復して、地下に秘密の図書館を作った。
飢えと死の恐怖に怯えながら、人々は貪るように本に没頭する。
という、ノンフィクションです。
どうよ、おもしろそうじゃない?

ただし、ひとつひっかかっていたのは、著者がフランス人であるということ。
私はどうもフランス人の書く文章が苦手だ。
でも内容はおもしろそうだし。

そして私の嫌な予感は当たった。
ノンフィクションのくせに文学的、詩的表現を多用する文体。
やたらと抒情的な自分語り。
おおお、フランス人よ! もっと淡々と簡潔に事実だけを述べてくれ!

あえて引き合いに出すけれど、上記の「収容所から来た遺書」では、あとがき以外で一切「私」は出てこない。
ノンフィクションかくあるべし。


「日本文学全集 14 南方熊楠、柳田國男、折口信夫、宮本常一」



池澤夏樹個人編集のあれです。
なんかもう、並んでいる名前を見るだけでワクワクしてきます。

南方熊楠は何がいいって、名前がいいよね。
変人かつ知の巨人。
掲載されている文章は明治の文語文なので読むのはちょっと大変です。

柳田國男は正統派。折口信夫は感覚派。
宮本常一は初読。聞き書きの「土佐源氏」「梶田富五郎翁」はめっぽう面白い。
現在の画一化された社会で文化の多様性が失われていく悲しさよ……。

言っておきますが、所々つまみ読みしただけっすよ。


「残酷な神が支配する」 萩尾望都



昔、コミックスで途中まで持っていたけれど最後まで読まずに手放してしまったので、Kindle版で改めて読んでみた。
性的虐待によるトラウマの話だから、読んでてしんどいんだけど、終盤、精神世界での畳みかけるような対決シーンは圧巻。
漫画だけど娯楽ではないよね。
セレブな人々の話なので、お洋服や建物や食事が豪華なのは眼福。
美形だらけだし。
萩尾望都の圧倒的力量に感服いたしました。

検索したら素晴らしいものが出てきたのでリンクはっておきます。
萩尾望都も神だが、この方も神ではなかろうか。





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