SSブログ

木彫り熊の申し子 藤戸竹喜 [日記]

木彫り熊の申し子 藤戸竹喜」展を観てきました。

EEDF8ED1-FE59-4149-AE8F-4E7BC7CBDCA7.jpeg

どこから見ても違和感のない自然な形、生き生きとしたしぐさ、毛の流れの精巧さ。
熊とともに生きたアイヌの伝統あればこその技巧だと思います。

デッサンや下絵なしで一気に彫り出していったとのこと。
余計なものを省いて木の中にあるものを取り出す、と語っていたけれど、木彫りの仏師と同じことを言うなぁ、と思った。
実際、観音像も彫っている。

熊を中心に、狼、鹿、狐、鳥、人間など、さまざまな木彫りがあります。
私がとても気に入ったのは鹿の像。
首を伸ばして鼻先を上げて目をつぶっている鹿の像です。
耳をすませているような、昔を思い出しているような、なんともいい表情をしています。

足をかく熊のちょっとユーモラスで愛らしい姿。
川で鮭をとる熊の群像も良かった。

「狼と少年の物語」という連作はエゾオオカミの絶滅にまつわる物語。
仲間を求める狼の悲しい遠吠えが聞こえてくるようです。

アイヌと言えば、しばらく前に知里幸惠の「アイヌ神謡集」を少し読みました。

「銀の滴降る降るまわりに
金の滴降る降るまわりに」

梟の神様が歌う歌は涙が出るほど美しいです。

自然に敬意を払い共存してきた独自の文化を持つアイヌ民族。
お恥ずかしながら私はあまりよく知っているわけではないけれど、豊かな文化を持つ人々、とぼんやり思っていました。

ところが、北海道の中でも都市ではないところに住んでいる人に聞いた話では、今はそれほどでもなくなったが自分が子供の頃はまだ差別が残っていた、とのことだった。

こんなに豊かな文化を持つ人々なのに? と関東で生まれ育った私にはピンとこないけれど、差別ってそういうものなんだろうな、とも思う。
私自身も、自覚のあるなしに関わらず差別しているし、されているのだろう。

東京ステーションギャラリーはアクセスが抜群にいいし、超大物人気作家のようなものではなくとも「こんな素晴らしい作家がいたのか」と教えてくれるセンスのいい企画が多いので、これからもこまめにチェックしていきたいと思います。

ローソンで事前にチケットを発券しておかないといけないのが唯一の難点。
当日券があるとは限らないし、スマホチケットに対応してくれないかなぁ。。。




コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。