SSブログ

スキャナーに生きがいはない [本]

「スキャナーに生きがいはない」 コードウェイナー・スミス



久々にSFを読みました。
面白かった!
Twitterに脳をやられて長い文章が読めなくなっていたのだけれど、それなりの厚さの小説本を一冊読み切れたことが嬉しい。

説明なく頻出する造語の数々に???となりながらも、幻想的でどことなく退廃的で、神話のような雰囲気をもつ未来の物語の数々に魅了されます。
伊藤さんと浅倉さんのこなれた訳がまたいいんだよなぁ。

以前からSFのタイトルってシビれるほどカッコイイものが多いよな、と思っていたのだけれど、この短篇集のタイトルも読んでみたくなるようなものばかり。
私は特に「青をこころに、一、二と数えよ」が好き。
原題の"Think blue, Count Two"はもちろんのこと、伊藤さんの邦題が見事。

「スズダル中佐の犯罪と栄光」
話としては面白いんだけど、星の影響で男だけになった種族を、愛を知らないおぞましく醜悪な生き物として描くことは、現代のポリコレ的観点からは批判を受けるんじゃないかなぁ、と思う。
この作者は男女の愛をこの世で最も美しく崇高な原動力として描く傾向があって、そういうキリスト教的な押し付けがましさみたいなものを臭みとして感じてしまうところがちょっとある。

作者は本名をポール・マイロン・アンソニー・ラインバーガーといって、極東政治を専門とする著名な政治学者にして軍人。孫文から中国名をもらったり、ケネディ大統領の顧問を務めるなど、政治史に名を残す人物ですが、作者の素性が明かされたのは亡くなった後のことだったそうです。

この「人類補完機構全短篇集」は全三巻なので、残り2冊もいずれ読んでみたいと思います。




コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。