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仁和寺と御室派のみほとけ [美術館/博物館]


引き続き「仁和寺と御室派のみほとけ」へ。
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会期が短く、人気のある展示なので夜間でもそれなりに混んでいます。
そして朝から盛りだくさんだった私はそろそろ体力の限界で、モーローとしながら前半の地味目な(失礼)展示を若干投げやりな気分で眺めます。
だって空海筆とか言われてもよぉ、書はわかんねぇよぉ。

細密彫刻の薬師如来坐像や美しい蒔絵の冊子箱はじっくりと鑑賞し、書や仏画の類いはすっとばす。
頭悪そう? ほっといてちょうだい。

やっぱり一度の上京であれもこれもこなそうというのは結局は安物買いの銭失いのような結果になるのだろうか、もう一度元気な時に改めて来るべきだろうか、等々考えながら第二会場へ。
するとそこには目の覚めるような仁和寺観音堂再現コーナーが!

しかも撮影可!
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壁画もあります。
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さあ、ここからは仏像タイム。

阿弥陀如来坐像および両脇侍立像を拝見すると、なにやら疲れがやわらぐような気がしてまいります。

龍華寺の菩薩坐像はいかにも天平の流麗な艶っぽいお姿。

道明寺の十一面観音菩薩立像は小ぶりながらも端正な美しいお姿。

今展示最大の目玉、本当に手が1000本以上ある千手観音菩薩坐像は思っていたほどグロテスクではなく、とにかく圧倒されます。

手には各種宝物を持っていてそれぞれに意味があるのですが、なんかもうとにかくありとあらゆる救済って感じでドラえもんのようだなぁと思いました。
中でも目を引くのは髑髏の刺さった杖で、髑髏宝杖というらしいのですが、あらゆる神々を使役できる便利アイテムだそうです。

「100万ドルの夜景を見下ろす菩薩」(うろおぼえ)と題された神呪寺の如意輪観音菩薩坐像はポーズも表情も完全にやさぐれモードで、「あーもう、毎日毎日あまたの衆生を救済してばっかりで俺もさすがに疲れちゃったよ。きりないんだよ。誰か俺を救済してくれって話だよ」とでもぼやいていそうです。
たまらなくツボです。

千手観音のポスターは心惹かれるものがありましたが、これ以上私の部屋を抹香臭い雰囲気にするわけにもいかないのでやめておきました。



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アラビアの道 [美術館/博物館]

ラグビーの後は友達の喫茶店へ行って「あなたはいつも変な男にひっかかるので、縁切りで有名なお岩稲荷がすぐ近くにあるのだからにお参りをしたらどうか」「いやどうも神仏系のご利益は効いたためしがないので気が進まぬ。私はたぶん病気である」というような話をして、その後、上野の国立博物館へ。
土曜日の夜は9時まで開館です。

まずは「アラビアの道 サウジアラビア王国の至宝」へ。

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サウジアラビアが自分でやっていることですが原油価格が安く抑えられているため、自国の文化的お宝をワールドツアーに出して地味に外貨獲得しているとかなんとか。その一環でしょうか。
いずれにせよ日本では滅多にお目にかかれない物ばかりですのでありがたい。

展示は撮影OKなのでぜひカメラやスマホを持って入りましょう。フラッシュは禁止ですよ。

アラブ人は顔が濃い。
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ライオン。ていうか、にゃー。
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これぞアラブ!
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エジプト文明とメソポタミア文明に挟まれた中東は古代史にまつわる貴重な遺産の宝庫だと改めて感じます。
それらの文化的遺産が破壊されてしまう現在の状況はとてもとても残念なことです。


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ブリューゲル展 [美術館/博物館]

東京都美術館で開催中の「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」に行ってきました。

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会期始まったばかりの平日だったので割とすいてました。

ブリューゲル一族は親子、兄弟、じいちゃんからひ孫まで連綿と受け継がれた画家一族で、子が親の作品を模倣したりするから、誰が誰やら、どれがどれやら。
今回の展示でようやく分かってきた気がします。
作品紹介パネルの下に「父-子-孫-ひ孫」でどれにあたるのかわかるように書いてくれているのがとてもありがたい。

「種をまく人のたとえがある風景」 ピーテル・ブリューゲル1世、ヤーコプ・グリンメル
ターコイズブルーが美しい。

「アーチ状の橋のある海沿いの町」 ヤン・ブリューゲル1世(?)、ルカス・ファン・ファルケンボルフ
手前の世俗とあの世かと思うような青い遠景が一つの絵に収まっているのが不思議な感じ。

「蝶、カブトムシ、コウモリの習作」「蝶、コウモリ、カマキリの習作」 ヤン・ファン・ケッセル1世
大理石に描かれた図鑑のような絵。大理石の質感と相まって実に美しい。

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この階だけは撮影OKでした。

ブリューゲルは細密描写がウリだから近くでまじまじと見る必要があります。
今のうちに平日を狙って行くべし。


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熊谷守一 生きるよろこび [美術館/博物館]

国立近代美術館で開催中の「熊谷守一 生きるよろこび」を観てきました。

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割と最近まで生きてたように思っていましたが、没後40年でしたか。

好きだなぁ、と思った絵を雑にご紹介。

「某婦人像」
後に妻となるが、この時は人妻。(間違えてたらごめんなさい)
おっとりとした美しい女性で、画家の愛を感じます。

「白い蝶」
緑の背景に、白い小さな蝶が一頭。シンプルだけど完璧な構図。

海辺を描いた絵はどれもいい。

「椿」
深緑にピンクのブチでしかない雑さなのに椿に見える。スゴイ。

「湖畔山羊」
「子牛」
かわいい。

猫もたくさん。
あー、猫って何かを狙ってるときはこうやって肩を盛り上げて頭を低くして歩くよなぁ、とか。
「野良仔猫」の短い足が幼さあふれてかわいいなぁ、とか。

「金峯山」
遠くの山がピンクだったり水色だったり。色使いがポップでかわいい。
今回のベスト3のひとつ。

「石亀」
淡い色使いに白い水泡が効いている。
今回のトップ。

「山茶花」
ピンクの花が鮮やかで元気が出ます。

「豆に蟻」
青い蟻さん。

「童子遊漁の図」
この色使いのセンスよ。

「櫻」
淡い淡い、ほとんど白に近い桜の花びらの色を見事に再現している。

「熊蜂」
以前うっかり108万円(値引きあり)で買いそうになった版画の原画油絵。


好きな絵が多かったので珍しく図録も買いました。
買った直後に落として角をつぶしました。
がっかりしました。
でも展示はとてもよかったです。

美術館のレストランは三國シェフの店でランチコース3500円からです。
とりあえず腹減ったから、とかで行ける店ではありません。
九段下の駅に向かう途中の武道館にあるカフェテラス「武道」でスパゲッティを食べました。
ミートソースボロネーゼです。
肉と炭水化物のみです。
武道!

その後、友達の喫茶店へ行ってグダグダしゃべって、最後に自転車仲間とプチ忘年会をして終了。
東京から夜遅く帰るのはそろそろしんどいお年頃です。


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古代アンデス文明展 [美術館/博物館]

運慶展の帰りに国立科学博物館の「古代アンデス文明展」に寄ってみました。

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一部を除いて写真撮影OKというのは私にとっては新鮮です。

気になったものをいくつか。

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「リャマの背に乗る男をかたどった土器」というタイトルですが、乗るっていうか、なんて言うか……。


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ニャーが背中からおぶさっています。
ニャー。


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「死んだ男性と生きている女性の性行為を描写した鐙型注口土器」だそうで、なかなかのエログロナンセンスなコンセプトです。


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ニャー大集合。
「ネコ科動物をかたどった多彩色土製香炉」


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水筒型壺だそうです。
昭和の子供が持っていた丸い水筒を思い出します。


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黄金の胸飾り!


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「木製の葬送行列のミニチュア模型」
ちょっと欲しくなります。


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「木製のミニチュア建築物模型」
中に小さなお人形がいます。
シルバニアファミリーのにおいがします。


最後のミイラがいる展示室は撮影禁止。
使者に対する敬意でしょうか。
ミイラとなった自分の身体が何百年も後のはるか遠い国で展示されているというのはどういう気分でしょうなぁ。
死者に意識などないって?
いいえ、アンデス文明の人々は死者とともに生きていたのですよ。


出土品の数々もこれはこれで興味深いのですが、私にとって中南米古代文明の魅力はなんといっても大自然の中に突如現れる壮大な遺跡群でして、いつかその場に立って土地のエネルギーを感じてみたいと思うのです。
しかし飛行機苦手な私にはなかなかハードルの高い旅行である。



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運慶展 [美術館/博物館]

雨の中、東京国立博物館の「運慶」展に行ってきました。

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この雨だもの、きっと人出が少ないはず……という読みは甘く、雨だけど人がいっぱい。
あとで科博の窓口のお姉さんに聞いたら、天気が悪くても土日の方が平日より人が多いそうです。
ひとつ学習しました。

幸い、小品は少ないので人が多くてもそれなりにみられる。

以下、気になったものをご紹介。

「法相六祖坐像」
神叡は己に厳しそうな端正な顔の青年僧。
善珠はじろっと左を見ている表情が印象的。
行賀の坊主頭に浮き出る血管がリアル。

光得寺「大日如来坐像」
厨子に収まった小さな仏様で、足元の獅子や背後の天部が可愛い。

「八大童子立像」
おなじみ、運慶の代表作のひとつ。
オレンジの壁に囲まれたエリアでガラスケースに収まった姿はまるで高級ブティックのディスプレイのよう。
面白い展示の仕方です。
可愛らしい像あり、童子というには老け顔あり。
恵喜童子の丸いキャップはなかなかモードな感じ。

興福寺南円堂「四天王立像」
いずれも素晴らしいですが、なかでもひときわ迫力あるのが持国天。
お顔の表層の一部が剥落しているのが、まるで返り血を浴びたようにも見えて凄みを増しています。
正面からでは分からないのだけれど、右袖のひるがえりがダイナミック。
是非向かって左手からも鑑賞して欲しい。
多聞天は左手に捧げ持った宝塔を見上げるポーズが珍しい。

東福寺「多聞天立像」
つるっとした子供のような顔と変な兜が見どころです。

海住山寺「四天王立像」
体長30センチほどの小さなお姿ですが、とても精巧にできています。
なにより彩色が鮮やかに残っているのが素晴らしい。
四天王それぞれの本来のお顔の色がはっきりとわかります。
持国天:緑、増長天:赤、広目天:白、多聞天:青
(一般的には持国天:青、増長天:赤、広目天:白、多聞天:黒、らしいですが)

「毘沙門天立像、吉祥天立像、善膩師童子立像」
原始仏教が「女子供への執着を捨てよ」と説いている中で、どこ吹く風と一家団欒を見せつける毘沙門天ファミリー。
童子の顔がいかにも「日本人の子供」の顔でなごみます。

高山寺「子犬」
明恵上人が愛でたという例のアレですね。
検証の結果、向かって右から見た姿が一番可愛いことが判明しました。
まあ個人の好みですが。

「千手観音菩薩坐像三十三身像のうち執金剛神」
右手を振り上げ、左手で左足を持つというダイナミックかつ斬新なポーズ。
難しそう、と真似してみたら意外と簡単だった。

「十二神将像」
風になびいたようなシャープな髪型がイカしてるヘビさん。
思案気なお顔が可愛いウシさん。
腕をつっぱって精悍なポーズのヒツジさん。
なにやらやる気に溢れているトリさん。
遠くを眺めるイヌさん。
眼をすがめて矢じりを確かめるイノシシさん。
今回のベストオブ十二神将はイノシシさんに決定。

悩みに悩んで結局図録は買いませんでしたが、返り血を浴びた(?)持国天のカッコイイA4ポスターがあったので買って帰りました。



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ベルギー奇想の系譜 [美術館/博物館]

Bunkamuraで閉会間近の「ベルギー奇想の系譜」を観てきました。

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頭のおかしい絵がたくさんあって楽しかったです。
さらっとご紹介。

ブリューゲルの「七つの大罪」シリーズあたりは「バベルの塔」展でも観たような気がするな。
「マレヘムの魔女」「魔術師ヘルモゲネスの転落」は変な人々がごちゃごちゃとたくさんいて、図録とかでじっくり見たらさぞや楽しかろう。
細かく書き込まれた小品版画が多いので、混雑しているとちょっと見づらい。

ルーベンスの原画を版画に彫った「ライオン狩り」「カバとワニ狩り」は現実的にはあり得ないくらい人とライオンとかカバとかワニとか猟犬とかがごちゃっとかたまっていて妙な魅力がある。
がぶっと噛みついたライオンの顔に寄ったシワがなんかいい。

クノップフの描く女性はとても静かで美しくてこの世ではないどこかを想っているようで、青い血が流れていそう。
細く儚い主線に淡くわずかな彩色が施されいてますます神秘的。
手を重ねて目を閉じる女性の「もう、けっして」。
もう、けっして……何なのでしょうね? 余韻が残る作品。
女性と片翼の彫像を描いた「蒼い翼」も不思議と惹きつけられます。

部屋に飾りたい、と思ったのは「フランドルの雪」。
人気のないフランドルの雪景色。圧倒的な面積を占める空は朝焼けでしょうか、夕焼けでしょうか。
寂しげだけれど落ち着く絵です。

廃墟となった工場らしき建物とその前を流れる運河を描いた「運河」はあっちの世界に行ってしまいそうな雰囲気がたまらなくイイ。
部屋に飾るとほんとにあっち行っちゃいそうだからやめておこう。

ロップスの一連の作品は、サタニズムだかなんだか知らないが、エログロホラーで迫力があった。
部屋に飾りたくはないが、こっそり所蔵したい気がする。

大好きなデルヴォーとマグリットもありましたが、これといった作品はなし。

カフェでシフォンケーキと紅茶をいただき、その後、自転車仲間と合流して大はしゃぎして帰りました。
充実の一日でございました。





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川本喜八郎人形ギャラリー「君主とその武将たち」 [美術館/博物館]

渋谷ヒカリエの川本喜八郎人形ギャラリーが展示替えされたので観てきました。

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今回は「君主とその武将たち」というテーマだったので三君主揃い踏みでしたが、中でも曹操様のカリスマ性は光っていました。
顎の青いひげ剃り跡が好きです。
関羽の長く美しい髭と青龍偃月刀はやはり見事だった。
本当に絵になる武将だよなぁ。
もしゃもしゃ頭とグリグリおめめの張飛も可愛い。

平家物語の方も充実していましたが、とにかく登場人が多くて名前も似ていて覚えられない!
史上唯一、二人の天皇の后になったという多子というお姫様にドラマを感じました。

8月のワークショップでは周瑜都督との撮影会があったようですね。
血を吐いていない都督にはあまり興味がないので、まあ別にいいかな。
曹操さまと写真撮りたいなぁ!



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アルチンボルド展 [美術館/博物館]

国立西洋美術館で開催中の「アルチンボルド展」に行ってきました。

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みどころはやっぱり「四季」シリーズと「四大元素」シリーズでしょうか。
肖像画を構成するパーツの花や果物があまりにも自然で写実的なので、近くでみると構成要素の一つ一つの方を脳が認識してしまってあまり顔に見えない。
少し遠くから見るとたしかに顔に見える。
顔に見える、というだけでなく、おそらくモデルに似ているはずで、それが本当にすごいと思います。
遠近で二度おいしい。超絶技巧です。

私が肖像画を描いてもらうとしたら「春」みたいにお花いっぱいで描いて欲しいな。
余談ですが、「春」はオッサンだと思っていたら女性だそうです。失礼しました。

職業シリーズも面白い。
上下逆さにすると見えるものが違う、という絵は横にコピーのパネルがあって分かりやすくてよかったけど、できることならば自分で逆さにしてみたいね。

点数が比較的少なく、それほど混んでいなかったということもあって、1時間くらいでさらっと観終わりました。

なんというか、最近は印刷の技術やデジタルの技術が向上していて、本物にかなり近いものを簡単に見られるようになったためか、実際に現物を前にした時の驚きのようなものが薄れてしまっている気がします。
もちろん、本物が持つ迫力というものはあって、生で見ることの価値は何も変わってはいないのだけれど、コピーの方がぐんぐんと本物に迫っているように感じます。

それを言ったら、そもそも私たちが「見ている」と思っているすべてのものは、目が拾った光の情報を脳が再構築して見せているものであって、実際の世界そのものではないわけで、「本物」とはなにか、とか考え始めるとよくわからなくなってきます。

まあ、それはともかく。
展示室に入る前に、あなたの顔をアルチンボルドの寄せ絵にしますコーナー、がありました。
モニターの前に立つと、カメラがあなたの顔を認識してアルチンボルド風の肖像画を作ってくれます。
これ、すごく面白い!
多少並ぶと思いますが、待っている間も他のお客さんたちの肖像画ができていく様子を見ているのも楽しいので、是非やってみてください。
おすすめ。

ちなみにアルチンボルド風若隠居さんはこちら。

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似てる? かも?



ミュシャ展 [美術館/博物館]

風邪ひいてるし、もとより体力はないし、三つは無理だよなぁ、場所も離れているしなぁ、と半分あきらめていたのですが、お昼に飲んだロキソニンが妙な効き方をしたのか、まだまだ元気が残っていたので新国立美術館まで足を延ばしてみました。
ロキソニンって痛み止め以外になんか「げへへ……」ってなるような成分入ってないでしょうね、大丈夫でしょうね。

お目当ては草間彌生ではなくてミュシャです。
当日券を買うだけでも結構並ぶので、事前のインターネット購入がおすすめです。

私にとってミュシャは「ああ、はいはい、綺麗だよね。みんな好きだよね」という感じで、特別興味はなかったのですが、メイン展示の「スラヴ叙事詩」はチェコ国外では滅多に見られない超大作ということで、なんだかやたら評判もいいし、じゃあ行ってみっぺ、という程度でした。
思いがけず、これが実に素晴らしかった!

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「スラヴ叙事詩」は天井まで届くほどの巨大な絵が全20枚という超大作です。
ミュシャ特有の淡い色使いとスタイリッシュな構図。
それが20枚揃うというド迫力。

中でも私はやはりチラシにも使われている始まりの1枚が印象的だった。
左隅にうずくまる男女の、特に女性のまっすぐこちらを見つめる怯えた表情から目が離せません。

幻想的な雰囲気のこの絵も好き。
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会場内は大変混雑していますが、とても巨大な絵で展示室も広いので、人がいて見えない、ということはありません。
むしろ近くに寄ると全体が見えないので、みんな少し離れて鑑賞しています。

そして全20枚のうち、4枚は写真撮影OKという大盤振る舞い!
素人が旧型のiPhoneで撮った写真よりもプロが撮った写真の方が断然きれいじゃん、ムダムダ、とかクールを気取ってみたものの、やっぱりせっかくだから、といそいそとスマホを取り出す小市民なワタクシ。

でもね、人がいっぱいいるし、絵がデカすぎるし、まあこんな感じですよ。

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余談ですが、20枚の中のひとつに娼館を修道院に改装するという場面があって、聖人の偉業を称える絵らしいのですが、その説明の中で「娼婦たちがこれまでの行いを悔い改めて……」とかなんとかいうくだりがあって、娼婦たちだって好きでそんな商売してたわけでもなかろうし、悔い改めるとか余計なお世話だよなぁ、と思ってしまった。


さて、「スラヴ叙事詩」の後は、これぞミュシャって感じのリトグラフ作品などの展示が続き、こちらもとても充実しています。

「4つの花」と「四芸術」は本当にうっとりする美しさ。
帰ってからネットで画像検索したけど、やっぱり実物のリトグラフの色合いとは違うんだなぁ。
それぞれ4人の女性が描かれた4つの絵で構成されていて、この中のどれかになれるとしたらどの女性になるか、と考えてみた。
花の方はバラとアイリスと迷いに迷って、途中でユリも捨てがたくなって、今この瞬間に選ぶとしたらアイリスかなぁ、という感じ。会場ではバラだった。
「四芸術」の方は迷うことなく「音楽」です。

「クオ・ヴァディス」は四辺の装飾がすごい。緑がかった色合いもきれい。

隻眼の英雄、ヤン・ジシュカは2枚の絵に登場するのですが、片方は右の眼にアイパッチ、もう片方は左の眼にアイパッチ。
構図の関係で左右違うのでしょうか。
どっちにしてもカッコイイ。

プラハ市民会館の市長の間を飾る絵の中で「警護-ホットの人々」のこっち見てる感がいい。
ところで、この「ホット」ってどういう意味なんでしょうね?
温かいってことではないと思うんだけど。


グッズも魅力的なものが多くてポストカードとか一筆箋とか欲しかったのですが、レジ待ちの行列がすごくてあきらめました。

とりあえず行ってみるべぇ、が結局3時間以上会場に居座る結果となった。
なにごともそういうものよね。


帰りがけに草間彌生展の撮影OKな屋外展示を「草間彌生展さいこーでした!」みたいな顔して撮って帰りました。

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